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埼玉弁護士会所属の弁護士です。

WEB調停

家庭裁判所の調停において、Webexアプリを利用したウェブ会議が始まっています。

 

これまでは電話を利用した電話会議のみの実施でした。

コロナ前は遠隔地でないと電話会議は認められず、調停の相手に恐怖心を持たれている方は、怯えながら出頭しておりました。

コロナ後は遠隔地でなくても電話会議を利用できるようになりましたが、音声のみでのやり取りでは伝えられる情報に限界があり、ご本人の辛さや苦しみなどを十分に調停委員に伝えることができないという欠点がありました。

 

ウェブ調停により調停委員とご本人が顔を合わせてやり取りをすることで、裁判所に出頭することなく、ご本人の表情や動作などからご本人の心情等を伝えることができるようになったと感じています。

 

ウェブ調停のメリットとしては以下の3点があると思います。

  1.  裁判所に出頭しないで済むため、相手と対面するリスクが非常に少ない
  2.  ご本人の表情や動作から、ご本人の心情を伝えることができる
  3.  調停委員と顔を合わせてコミュニケーションをすることで、調停に対する不安感が軽減しやすい

 

① 裁判所に出頭しないで済むため、相手と対面するリスクが非常に少ない

裁判所に出頭した場合、裁判所内や裁判所までの道のりにおいて、相手と対面するリスクがありました。

過去には待ち伏せをされたケースもあり、心情的な対立が激しい事案では、裁判所に出頭することによる精神的な負担が非常に重く、調停の日が近づくと体調を崩される方もいらっしゃいました。

ウェブ調停では、弁護士の事務所で調停を行いますので、相手と対面するリスクが非常に少なくなります。

 

② ご本人の表情や動作から、ご本人の心情を伝えることができる

電話会議の際に、弁護士が必死にご本人の心情や精神的な苦しみを説明しても、なかなか信用されず、ご本人の精神状態に応じた対応をしてもらえないことがありました。

涙ながらにお話をされている場合であれば、ご本人の心情が伝わりやすいです。

しかし、涙を堪えていらっしゃる様子や質問を受けてハッとした表情で俯いてしまった様子などは、電話での音声情報のみのやり取りではなかなか伝わらず、弁護士としてもどかしい想いを感じておりました。

ウェブ調停によって、表情や目線の動きなどが伝わるようになり、ご本人の心情がより伝わりやすくなり、調停委員もきめ細やかに対応してくださることが多くなったと感じております。

 

③ 調停委員と顔を合わせてコミュニケーションをすることで、調停に対する不安感が軽減しやすい

電話会議では、どのような方が調停委員を担当されているのかわからず、調停に対する漠然とした不安感を感じる方が多くいらっしゃいました。

ウェブ会議によって調停委員の方が真剣な表情で真摯に対応してくださっていることが伝わり、調停に対する不安感が軽減しやすくなったように感じます。

 

ウェブ調停の改善の余地としては、現時点では画面共有の活用がされていない点があると思います。

画面共有の活用がされていないため、資料の説明等に不都合を感じることがあります。

今後の改善に期待したいです。

 

ウェブ調停は積極的に活用しておりますので、遠隔地の裁判所での調停の対応が必要な方はお気軽にご相談くださいませ。

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