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埼玉弁護士会所属の弁護士です。

遺産分割調停の進み方

遺産分割調停においては,段階的に話し合いが進められていきます。

具体的には,以下の流れとなります。

 

① 相続人の範囲

② 遺産の範囲

③ 遺産の評価

④ 各相続人の取得額

⑤ 遺産の分割方法

 

①から⑤の順番に話し合いが行われます。

①について合意ができた場合には②に進む,②について合意ができた場合には③に進むというように順番に話し合いをすすめることになります。

そのため,②遺産の範囲に争いがある場合には,③以降に進むことができません。

としても,②について合意がされると仮定して,②の話し合いと同時に③についての話し合いを進めることもあります。

 

では,②遺産の範囲に争いが有る場合は,遺産分割ができないのでしょうか。

これまでは,明文の規定はありませんが,実務上,②遺産の範囲に争いが有る場合には,争いのない範囲の遺産のみ分割を行う一部分割が行われていました。

そして,相続法改正により,一部分割が明文で規定されました。

 

(遺産の分割の協議又は審判等)
第907条
1.共同相続人は、次条の規定により被相続人が遺言で禁じた場合を除き、いつでも、その協議で、遺産の全部又は一部の分割をすることができる。
2.遺産の分割について、共同相続人間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、各共同相続人は、その全部又は一部の分割を家庭裁判所に請求することができる。ただし、遺産の一部を分割することにより他の共同相続人の利益を害するおそれがある場合におけるその一部の分割については、この限りでない。
3.前項本文の場合において特別の事由があるときは、家庭裁判所は、期間を定めて、遺産の全部又は一部について、その分割を禁ずることができる。